関蝉丸神社 ~ 平安時代の歌人・蝉丸ゆかりの神社 ~

 京都市山科区と滋賀県大津市との境にある 逢坂山 その逢坂の地名は峠の上で、二つの坂道が合うところから出た名称で、『日本書紀』によれば、武内宿禰が忍熊王を討とうと追いかけたところ、ここで両軍が出会ったことから名付けられたといいます。逢坂峠は平安京が定められたまもないころには逢坂の関が置かれ、不破の関・鈴鹿の関とともに天下の三関と称されたいました。畿内から北陸、東国へ往来する旅人はかならずこの峠を越えなければならず、古代から公家や武人、文人墨客もよく通ったことから逢坂山を詠み込んだ歌も数多く残されています。

 なかでもよく知られているのが百人一首にある清少納言と蝉丸の歌です。

   夜をこめて鳥のそら音ははかるとも世に逢坂の関はゆるさじ  


   これやこの行くも帰るも別れては知るも知らぬも逢坂の関  

  蝉丸神社2  蝉丸神社1
    蝉丸の歌碑                        逢坂山関址の碑

 『これやこの・・・・』の歌を詠んだ蝉丸は平安時代前期の歌人で、目が不自由であったが琵琶の名手といわれ、音曲の神として祀られています。この逢坂山の地は蝉丸が草庵を建てて隠遁生活を送ったところといわれ、この地には蝉丸が祀られた 関蝉丸神社 があります。関蝉丸神社は逢坂山の守護神で、旅人の安全をつかさどる猿田彦命・豊玉姫命を祀ったことがはじまりで上社と下社からなり、蝉丸も祭神として祀られています。また、分社でとなっている蝉丸神社の三社を併せて 蝉丸神社 総称することもあるといいます。

  関蝉丸神社下社 は『関清水蝉丸神社』とも呼ばれ、国道161号沿いに位置しています。京阪電鉄の線路を渡ったところに建つ鳥居の横には『音曲芸道祖神』と刻んだ石柱がたっています。

  蝉丸神社11  蝉丸神社10

 鳥居をくぐり境内に入るとすぐに、泉の跡らしき囲いがあり横には『せきしみず』の石標がたっています。これは紀貫之が詠んだ

   逢坂の関の清水に影みえて今や引くらむ望月の駒

 の遺跡といいます。境内には木漏れ日がさし込み、古社の雰囲気が漂ってきます。拝殿、その奥に本殿、社務所や摂社が並ぶ境内は参拝する人も少ないようで閑散としています。

  蝉丸神社15  蝉丸神社12
    関清水跡                         関蝉丸神社下社拝殿

  蝉丸神社13  蝉丸神社14
    関蝉丸神社下社本殿                 時雨灯籠

 拝殿の横には鎌倉中期の作と伝わる『時雨灯籠』が立っています。花崗岩でできている六角型で、四方に蓮華文が飾られている見事なもの。本殿に参拝後、周囲を回ると、いくつもの歌碑や句碑が置かれていて、かつて参拝した人の多かったことが伺え、社殿に残されているいくつかの絵馬にかかる埃がより一層虚しさを感じさせます。

 関蝉丸神社上社 は下社から150㍍ほど京都よりの国道1号線沿いに位置しています。国道から石段を上り、かつてあったであろう鳥居の上にたてられた赤い鳥居をくぐり、さらに石段を上ると拝殿、続く石段を上ったところに本殿が建っています。山の斜面に建てられた社殿は見ている以上に急な位置にあり、遠い昔、蝉丸が隠棲の地は今や交通の要所になっていることに、まつられている蝉丸も驚嘆しているのではないでしょうか。下社と同様、ここに参拝する人も少ないようです。

  蝉丸神社7  蝉丸神社8
                                   関蝉丸神社上社拝殿

                  蝉丸神社9 関蝉丸神社本殿

 さらに関蝉丸神社上社から京都に向かって進み、『逢坂山関址』の碑を越え、二又に分かれた道を右手に進むと『うなぎ』で知られる『かねよ』がありそこから少し行くと 蝉丸神社 があります。入口には江戸時代、大津から京都に物資を運ぶ際に道路に敷かれていた『車石』が置かれていて、当時が偲ばれます。木々に覆われた石段をのぼると鳥居が建ち、拝殿、その奥に本殿が建っています。深い緑に囲まれた境内に時折聞こえる鳥の声、風に枝を揺らす古木・・・そこに佇んでいると琵琶の音色が聞こえてきそうなもの悲しい雰囲気で、祀られている蝉丸もここではゆったりとした日々を過ごせるのでは・・・と

  蝉丸神社3  蝉丸神社4

  蝉丸神社5  蝉丸神社6
    蝉丸神社拝殿                      蝉丸神社本殿

 謡曲『蝉丸』では、醍醐天皇の皇子でありながら、目が見えなかったので、逢坂山に隠れ住んでいたところ、狂女となった姉君に、琴を弾じた音を聞かれて、姉弟の対面を果たしたとのこと、また『今昔物語集』では醍醐天皇の孫・源博雅が3年間通い続けて、やっと琵琶の秘曲を伝授されたなど、蝉丸に関する逸話はかなりありますが、その生涯は生没年ともに不詳で多くの謎に包まれているようです。

 車で通ることがあってもなかなか訪れることができなかった 関蝉丸神社 詠まれた和歌を思い出しながら、蝉丸を偲びました。

 
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