2018 京の冬の旅 1 ~ 相国寺塔頭 林光院 鴬宿梅で知られる薩摩藩ゆかりの寺 ~

 幕末、新しい日本を求める高まりの中で大政奉還、王政復古が実現された明治維新から150年、その舞台となった京都には幕末・維新を物語る史跡やゆかりの社寺が多く点在しています。今年の『京の冬の旅』は『明治維新150年』と維新の立役者のひとり『西郷隆盛』をテーマに開催されています。

 臨済宗相国寺派大本山 相国寺 は幕末、境内に薩摩藩二本松藩邸が建てられていて、ここで薩長同盟が成立されたことで知られています。『京の冬の旅』の特別公開では薩摩・島津家とゆかりの深い塔頭のひとつ 林光院 が公開されています。

 林光院は室町幕府第4代将軍足利義持の弟良嗣の菩提を弔うために夢窓国師を勧請開山に創建され、当初は二条西ノ京にあった紀貫之の屋敷跡にあったと伝わり、その後移転を繰り返し、安土桃山時代に豊臣秀吉の命により今の地に移ったといいます。しかし、明治7年1868)に廃仏毀釈により廃院し、大正8年(1919)に橋本獨山により再興されたといいます。薩摩藩との関係は、関ヶ原の戦いで敗れた島津義弘が、大阪の豪商・田辺屋の今井道与により堺港から海路で薩摩に無事に帰国することができ、その功により薩摩藩秘伝の調薬方の伝授を許され、義弘自らの僧形像が与えられたことから松齢院を建てて安置し、義弘が没した後は位牌も安置されたといいます。その後道与の孫・乾崖梵竺が林光院の住職になり、義弘の像と位牌が林光院に遷され、島津家ゆかりの寺となったといいます。

 今出川通から同志社大学の学舎に挟まれた道を行くと相国寺の総門があり、門をくぐると平坦な境内に松の木の大木がそびえ、掃き清められた石敷きの道が右に左に、そして縦にとのび、放生池にかかる天界橋、三門跡、仏堂跡の先に豊臣秀頼の寄進という法堂がそびえています。相国寺、訪れるたびに感じるのは境内の明るさと清々しさ。それは広大な境内に植えられている木々が程よい間隔で幹や枝をのばし、建物に空間をもたらしているためなのかはわかりませんが、境内を歩いているだけで心が晴れてきます。

  林光院1  林光院2
    相国寺総門                       法堂

 その境内には塔頭寺院が12院ありますが、特別公開されている塔頭・林光院は法堂の手前のから横にのびる相国寺東門の手前に位置しています。

  林光院3  林光院4
    林光院山門                       

 山門を入ると、江戸時代、近江にあった仁正寺藩の藩邸を移築したという本堂、書院が建っています。本堂には地蔵菩薩が安置され、建物の内部は初公開となる襖絵で飾られています。この襖絵は藤井湧泉氏の手による水墨画で、4年の製作期間を経ての完成といいます。藤井湧泉氏は中国・江蘇州の生まれで大学で水墨画を学ばれ、日本に留学して、日本の会社に勤務の傍ら絵筆を握り、その水墨画が認められて一休寺、高台寺の襖絵などを手がけ、今回、林光院の襖絵を描かれたそうです。雅号の『湧泉』は哲学者・梅原猛氏が名付けたといいます。描かれている襖絵、本堂入口にある『龍虎図』の虎はなんとも穏やかな猫を思わせる愛らしさにあふれ、龍もその虎を優しく見守る親のような穏やかさを感じました。そして、地蔵菩薩は蓮の花に囲まれています。佐賀県にある虹ノ松原の松を描いた雄大な『松図』、そして『牡丹図』『梅図』と植物が描かれた水墨画、どれも印象に残るものでした。

 そして、林光院で忘れてならないのが『鴬宿梅』と呼ばれる梅の木。この梅の木には逸話が残されています。平安時代の村上天皇の頃、清涼殿の梅が枯れたため、代わる木を探し求められとところ西ノ京のある屋敷に良い梅の木があることを聞き、その梅が移植されると、その枝には 「勅なれば いともかしこし 鶯の 宿はととはば いかがこたえん」 の短冊が掛けてあり、これに心を打たれた天皇は歌の主を尋ねると、紀貫之の娘であることを知り、梅の木を返されたといいます。そして、この梅は寺の移転とともに接ぎ木などによる代替わりを繰り替えし、現在も引き継がれているといいます。
 その『鴬宿梅』は書院の南庭に植えられています。36枚もある花弁を持ち、白、赤、淡紅が混じって咲く珍しいものであるとともに香りが強いのが特徴といいますが、開花3月上旬から下旬とのことで、今はまだ固い蕾で時を待っていました。

 薩摩藩とゆかりが深い林光院、相国寺東門を出た左手の境外墓地には、幕末の『蛤御門の変』『鳥羽・伏見の戦い』で戦死した薩摩藩士が合葬されています。

   林光院5
      薩摩藩戦死者墓

何度も訪れている相国寺で、今回初めて拝観が叶った 林光院 まだその美しい花を見ることができなかった『鴬宿梅』が咲くころに、もう一度水墨画を観に訪れたいと心に決めて、境内を後にしました。


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