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滝口寺 ~ 建礼門院の雑仕と名門の武士の悲恋の舞台 ~

 京都嵯峨野には歴史や文学の舞台となった古刹が多くあります。祇王寺と隣り合う 滝口寺 もそのひとつで、『平家物語』巻十『横笛の事』の舞台となっています。この寺も祇王寺と同じく念仏坊良鎮が創建した往生院の子院であった三宝寺の旧跡だったところで、昭和期に『平家物語』の滝口入道と横笛の悲恋の地として小堂を建てて 滝口寺 と改められてたといいます。

 滝口入道とは平重盛(清盛の長男)の家臣斉藤時頼のことで、彼は建礼門院徳子に仕える横笛は相思相愛であったが、身分違いを理由に時頼の父によって引き裂かれてしまう。しかし父の干渉を知らない時頼は横笛の返信と思い込み19歳の身で往生院で出家。そのことを伝え聞いた横笛は自分の気持ちを打ち明けようと寺を訪れるが、滝口入道として仏に仕える身であると合うことを拒むみ、対面がかなわなかった横笛は近くにあった石に歌を書いて帰ったといいます。滝口入道は横笛に住まいを知られたということは修行の妨げになると高野山に入山、横笛は大堰川に入水したとも奈良法華寺で尼になったとも伝えられています。

 祇王寺から柴垣の間の石段をのぼると鬱蒼とした樹林に囲まれて小さな門がたっていて、その門から続く参道をあがって行くと生い茂る木の中に三宝寺の標柱と横笛が書いたといわれる歌碑が立っています。

  滝口寺1  滝口寺2

  滝口寺3  山深み思い入りぬる柴の戸のまことの道に我を導け 

 草木が生い茂る参道をのぼりつめると開け放たれた本堂が建っています。近づいてみるとその建物は屋根には苔が、床はかかなりの傷みがあり、何とも哀れな姿になっています。以前訪れたときは紅葉の真っ盛りで、真っ赤に染まった小倉山を背に風情ある姿をミサていたような・・・

    滝口寺4
      本堂

 誰もいない本堂の縁に腰を下ろし、境内を眺めていると幾つもの実を付けた柿や千両が実を付けているのを発見、少しだけ秋を感じました。

  滝口寺5  滝口寺8
    本堂から眺める境内

 そして竹藪の中には滝口入道と平家一門の供養塔が境内を見下ろすように立っています。

  滝口寺6  滝口寺7
    平家供養塔

 鬱蒼とした樹林と天に届きそうな竹藪に囲まれた境内は山里の寂しい風景を思い描かせ、横笛と滝口入道の悲恋を偲べば胸が痛くなってきます。

 そして、この悲恋の舞台である寺にはもう一つの悲しい伝説があります。足利尊氏とともに鎌倉幕府を滅ぼした新田義貞は名門の武将でありながら激変する時代の波に翻弄され、越前で命を落としてしまいます。その首が京の三条河原に晒されていたのを妻であった匂当内侍がこっそりと持ち出し葬ったのがこの滝口寺といい、入口の門の奥には新田義貞の首塚と匂当内侍の供養とがひっそりとたっています。

  滝口寺9  滝口寺10
    新田義貞の首塚                     匂当内侍の供養塔

 四季折々に趣きある風景を描き出す嵯峨野、無常観が胸に迫る寺々は訪ねる人の胸を打ちます。静寂の中に佇む滝口寺はそれをより一層心に響きました。
 
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