諏訪大社上社(本宮・前宮) ~ 御山を神体とする信濃国一之宮 ~

 7年に一度の奇祭・御柱祭が行われる 諏訪大社 は信濃国の一之宮で、わが国最古の神社のひとつで、全国に一万余りの分社を数え、その総本社として人々の崇敬を集めています。諏訪大社には上社(本宮・前宮)と下社(春宮・秋宮)があり、諏訪盆地の中心諏訪湖の南北に二社ずつ四か所に鎮座しています。神がたてまつられる本殿を持たず、かわりに上社は御山を神体に、下社春宮は杉の木、下社秋宮はイチイの木をご神木としてたてまつっています。祭神に上社本宮に建御名方神(大国主神の子)、上社前宮に妃神八坂刀売神、下社春宮、秋宮は二神に加えて八重事代主神が祀られています。諏訪湖が寒さで全面氷結すると氷が膨張してせりあがる『御神渡』は上社の男神が下社の女神のもとに通った恋の道といわれています。また、『御柱祭』は寅年と申年に行われる式年祭で、御宝殿の造り替えを行うとともに、御柱を建てる一連の行事であり、起源は平安時代以前に遡るといいます。

 諏訪湖の南側の諏訪市に鎮座し、4つの大社のなかでも最大の規模を誇る『上社本宮』の東参道の鳥居を入ると正面に『布橋』とよばれる屋根付回廊があります。江戸時代につくられたという回廊の入口には見事な彫刻が施されています。

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    東参道                          布橋入口

 布橋の左手には絵馬堂、摂末社遥拝所、大国主社が並び、さらに進むと斎庭に入るための『四脚門(勅使門)』が建っています。東西宝殿の間に建つこの門は徳川家康の寄進により造られたといいます。

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    四脚門と東西宝殿                   塀重門

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      参拝所

 塀重門を過ぎ、参拝所に。参拝所の奥には重要文化財になっている幣殿・拝殿、左右片拝殿がご神体山である守屋山を背後に横並びに建っています。社殿の奥の社叢の中には三之御柱と四之御柱がたてられており、それぞれに遥拝所が設けられています。古来より諏訪大明神として親しまれてきた諏訪大社は農業・産業・航海の守り神として崇められ、五穀豊穣の祈願が行われてきました。境内にある清祓池では毎年春の御頭祭には近隣の農家の人々が種もみを浸してその浮き沈みに依って豊凶を占ったといいます。

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    清祓池                          境内最古の樹木のひとつ大欅と二之御柱                          
 諏訪大社の中でも最も多くの建造物が残っている上社本宮、布橋から一段下がった境内には神楽殿、五間廊、勅使殿、駒形舎(神馬舎)などが建っています。

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    神楽殿                           五間廊 

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    勅使殿                           駒形舎(神馬舎) 

 上社本宮の裏手には上社と縁深い宮寺のひとつ 法華寺 があります。伝教大師最澄が東国布教の際、この地に巡錫し開山されたと伝えられています。その後鎌倉時代に禅宗に改宗、織田信長の甲州征伐の際には本陣とされ、明智光秀はこの寺で信長のよる辱めを受けたことを恨み、本能寺の変で命をおとす原因になったともいわれています。また、赤穂浪士討ち入りに遭遇し、高島藩へお預けの身になった吉良上野介の外孫・吉良義周の墓があります。かつては壮大な伽藍を有していたという法華寺は明治維新の神仏分離令により破壊され、現在は昭和初期に建造された山門、近年に再建された本堂、庫裏が建っています。そして本堂裏の小高いところに若くしてこの地に没した義周の墓がひっそりとたっていて、苔生した墓石に時の流れを感じます。

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    法華寺山門                        吉良義周の墓

 本宮から南東に位置する『前宮』は諏訪大明神第1の鎮座地といわれています。鳥居をくぐると諏訪大社の神職・大祝の居館であった神殿跡や十間廊、内御玉殿などがあります。

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                                   神殿跡

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     内御玉殿                        十間廊

 少し登りになった参道を進むと前宮の社が見えてきます。

   諏訪大社上社20

 前宮も本宮と同じく本殿がなく、拝殿もない特殊な形式になっており、社の近くには三と四の御柱がたっています。かつては本宮よりも栄えていたといわれる前宮ですが、それを偲ばせるものはほとんどありません。古木の中にひっそりと佇む前宮、木漏れ日から差し込む光が神々しく身が引き締まりました。

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