中山道 醒井宿 ~ 清流の郷に咲く梅花藻(バイカモ)の花 ~

 滋賀県は東日本と西日本を結ぶ交通の要衡にある。江戸時代には五街道のうち東海道と中山道のふたつが近江を通っていた。滋賀県米原市醒井には中山道の宿のひとつ 醒井宿 があった。中山道の街道宿の中では小規模な宿ではあったが、日本武尊(ヤマトタケル)の命を救ったと伝説の湧水「 居醒の清水 」があり旅人の喉を潤していた。日本書紀によると日本武尊が伊吹山で大蛇の毒を受けたとき、この湧水で冷やすとたちまちのうちに正気を取り戻したことから「居醒の清水」と呼ばれるようになったという。

           醒井1 中山道 醒井宿
      
    地蔵川の源流 「居醒の清水」  醒井4

           醒井3

  醒井2
         地蔵川の清流

 「居醒の清水」を源流とする 地蔵川 には水にまつわるスポットや川沿いを通る中山道には宿場当時の面影を残す建物などがある。

   醒井5   醒井6
        十王水                            西行水  

 「十王水」には平安時代中期に天台宗の僧・浄蔵貴所によって開かれ、初めは浄蔵水と呼ばれていたが、近くの十王堂があったことから「十王水」と呼ばれるようになり、「西行水」には西行法師が飲み残した茶の泡を飲んだ娘が懐妊、それを知った西行が「もし自分の子なら泡に戻れ」というとその子はたちまち泡にもどったといわれている。

   醒井12   醒井7
        問屋場                        地蔵堂(県下最大の一石一尊の地蔵がある)

 昔も今も人々を癒やす地蔵川は梅花藻(バイカモ)が群生する川として知られている。初夏から晩夏にかけて水の中で涼しげに揺らぐ梅花藻の花は、水温が年間14℃前後の清流にしか生息しないといわれている。梅の花に似た小さな白い花は見ているだけで涼しさを感じてくる・・・

   醒井8   醒井9
                  地蔵川のいたるところでみられる水中花「梅花藻」

           醒井11 初夏に地蔵川の淵を彩るユキノシタ

 のんびりと歩きながら水の中で揺らめく梅花藻や街道の散策は日常を離れた癒しの空間をもたらしてくれるのでは・・・

 また街道沿いには醒井宿の資料が展示されている大正時代に建築された擬洋風建築の旧醒井郵便局や葉の上に実の付く珍しい オハツキイチョウ のある了徳寺などがある。 

   葉の上に実がなるオハツキイチョウ 醒井10

 花データ

 梅花藻(バイカモ) ~  キンポウゲ科 日本特産 花期 初夏(5月中)から晩夏(9月末)
    浅い流水中に生えるが水が汚れてくると絶えてしまう。ある程度の流れがないと成長しないのでたまり水では育たない。

~ ユキノシタ ~  ユキノシタ科 花期 5~6月
    日陰と湿り気を好み谷川のそばの岩上や人家の裏庭の石垣などに群生。民間薬、山菜としても利用できる。
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愛宕念仏寺(おたぎねんぶつてら) ~ 手彫りの羅漢像に癒される寺 ~

 京都市嵯峨鳥居本の奥、清滝トンネルの手前に山桜やカエデに覆われた中に朱塗りの門がある。これが 愛宕念仏寺 (おたぎねんぶつてら)の仁王門になる。称徳天皇の開基により山城国愛宕君に愛宕寺として建立されたが、鴨川の洪水により流失したため、天台宗の僧千観によって再興された。千観は生涯念仏を唱えることをやめず、世に念仏上人ともいわれ、この寺は 愛宕念仏寺 と言われるようになったといい、現在の地には大正期に移ってきたという。

 江戸中期の仁王門はその際に移築され、二体の仁王像は鎌倉時代の作になるという。

           愛宕念仏寺1

 門の中に入れば羅漢像が空間を埋め尽くすように並んでいる。

                          愛宕念仏寺2

 これらの羅漢像はこの寺の復興のために昭和56年から10年間、1200人の一般の参拝者の手によって彫られたものという。微笑みを浮かべた顔、悲しそうな顔、怒りの顔、悩んでいるような顔・・・ひとつとして同じ表情のない顔をしていてどの顔も優しい。見ているだけで心が癒され、穏やかな気持ちになってくる。

   愛宕念仏寺5

           愛宕念仏寺6
                     
                          愛宕念仏寺10

 みずみずしい新緑と鳥の声、山から流れ出す水の音がするだけの境内には本堂、地蔵堂、ふれ愛観音堂、多宝塔、鐘楼が点在している。
 鎌倉中期再建の本堂は仁王門とともに移築されたもので、中には厄除け千手観音が安置されている。

           愛宕念仏寺7 本堂

  愛宕念仏寺3  愛宕念仏寺8
           地蔵堂                                      多宝塔

  愛宕念仏寺9  愛宕念仏寺4
          鐘楼                               ふれ愛観音堂

 昼なお薄暗い境内の羅漢像の前に、脇に、背に日陰を好むシャガの花が・・・

  愛宕念仏寺11   愛宕念仏寺12
 
 山を背にした愛宕念仏寺にはユーモラスな羅漢像がいっぱい ・・・是非一度、羅漢像に逢いに行ってみてください。

大悲閣(千光寺) ~ 大堰川の流れと京の町を見つめる寺 ~

 京都嵐山は大宮人が風雅に舟遊びを楽しんだころから現在に至るまで、風光明媚な観光地として多くの人でにぎわっている場所。その嵐山の元禄山中腹に大堰川や東山三十六峰、比叡山を一望できる 大悲閣 (千光寺) という黄檗宗に属する禅寺がある。もとは嵯峨清凉寺の近くにあった後嵯峨天皇の祈願寺であったが長い間衰退していた。その千光寺を大堰川、高瀬川の開削で知られる京都の豪商 角倉了以 が河川工事で命を落とした関係者の菩提を弔うために現在の地に移し、二尊院の道空了椿を中興開山とし 大悲閣 (観世音菩薩像を安置した仏堂) を建立したといい、晩年は了以自身も大悲閣に住んだという。

   大悲閣12  大悲閣11
       高瀬川沿いにある角倉氏邸址            高瀬川一之船入

 大悲閣へは、渡月橋の南側から大堰川右岸沿いの道を上流に行く。山の樹木に覆われた道は新緑と山峡の川らしいコバルトブルーの大堰川の水が秘境の趣きを感じさせる・・・

           大悲閣1 樹木に覆われた大堰川右岸

    水の色が山峡を感じさせる大堰川 大悲閣2

 渡月橋から1キロ少しで大悲閣の参道の下にたどりつく。芭蕉の句碑のある登り口から山道を100m程上がると山門がある。

           大悲閣3 参道入り口

       参道の途中には石仏が・・・ 大悲閣4

 山門からは岩場に建つ鐘楼が見える。
 
           大悲閣5 山門

 鐘楼の脇を上がると展望閣にでる。

  大悲閣7  大悲閣6
        展望閣の下にある鐘楼                 展望閣

 開け放たれた展望閣からは比叡山、如意ケ岳(大文字山)をはじめとする東山の峰々、その下に京都市街が一望できる
絶景が広がる。人気のない空間に、鳥のさえずり、新緑の香り、木々を通して見える大堰川の水の色、どれをとっても日常からかけ離れた世界はしばし時間の過ぎるのを忘れさせてくれる・・・お寺の方によるとここから見る大文字山の送り火は最高とか、機会があれば是非一度見てみたいと思う。

   大悲閣8
          都富士の名を持つ美しい比叡山と東山、双ヶ岡、衣笠山

 本堂は伊勢湾台風の被害を受け解体され、本尊である恵心僧都(源信)の作といわれる了以の念持仏の千手観世音菩薩は仏殿に安置されている。

                        仏殿 大悲閣9

           大悲閣10 千手観世音菩薩、弁財天が並ぶ仏殿

 この大悲閣に来て驚いたのが外国のツアーでの観光者の多いこと  外国の観光案内書によるものらしいが、こんなに素晴らしい景色と居心地の良さを得られるお寺はなかなか見当たらない。四季折々に楽しめる大悲閣を日本人である私たちも是非一度は見て頂きたいと思う。

天龍寺塔頭 宝厳院(ほうごんいん) ~ 名園 「獅子吼の庭」 ~

  京都市右京区にある 天龍寺 は足利尊氏が後醍醐天皇の冥福を祈るために、後嵯峨天皇の亀山殿の地に夢窓疎石を開山に迎え創建された臨済宗天龍寺派の大本山として知られ、世界文化遺産にも認定されている京都観光には欠かせない寺である。 宝厳院(ほうごんいん) はその天龍寺の塔頭のひとつで、江戸時代の名園ガイド「 都林泉名勝図会 」にも載る歴史ある庭「 獅子吼 (ししく)の庭 」があり、春と秋には特別公開が行われる。

 宝厳院の寛正2年(1461)に室町幕府の官領・細川頼之公により創建され、創建当初は京都市上京区にあったが、応仁の乱により焼失、その後変遷を経て、現在の地に再興されたという。

 天龍寺の総門の脇の参道を奥に進むと 『嵐山羅漢』 の祀られた杜と紅葉の頃は紅葉のトンネルとなる紅葉の参道がある。 茅葺きの門を入ると鮮やかな新緑が目に入ってくる。
                        
           宝厳院1 嵐山羅漢の杜

                  茅葺きの門 宝厳院2

  宝厳院3
           新緑が目に染みる獅子吼の庭
 
 「 獅子吼の庭 」と呼ばれる庭園は室町時代の禅僧策彦周良禅師によって作庭されたという。嵐山を巧みに取り入れた借景回遊式庭園で『獅子吼』とは『仏が説法する』ことを意味しているとのこと。策彦禅師が命名された『獅子岩』 『碧岩』 などの巨石を身近に見ながら散策する庭には鳥のさえずり、心地よい風が流れ身も心も癒されていゆく・・・

           宝厳院8 「苦海」(空池)

                 雲上三尊石 宝厳院4 

           宝厳院5 光に包まれた散策路

   宝厳院6  宝厳院7
         新緑の豊丸垣                       紅葉の豊丸垣

   宝厳院11
           紅葉に彩られた獅子岩

               獅子岩と本堂  宝厳院12

 庭園内には十一面観世音を祀る本堂、永代供養の「無礙光堂」、無畏庵があるが、木々に隠れるように建っている。 

           宝厳院12 新緑に色を添えるサラサウツギの花

  宝厳院は紅葉の頃は特に拝観する人が多い観光の名所となるが、新緑の頃はまだゆったりと散策できるので初夏の香りを求めて是非一度訪ねて頂きたい場所です。

  花データ

~ サラサウツギ(更紗空木) ~  アジサイ科ウツギ屬の低木 原産地 日本   
 幹が中空になっていることから命名された。 5~6月に八重咲きの芳香のある花を咲かせる。
 

高山寺 ~ 日本最古の茶園を持つ山峡の名刹 ~

 京都から丹波へ続く周山街道沿いにある 三尾 (高雄・槇尾・栂尾の総称)は清滝川が間近に流れ、新緑・紅葉の名所としてよく知られている。その三尾のいちばん奥、栂尾にある 高山寺 は創建を奈良時代とする古刹で、世界文化遺産に登録されている。
 寺の歴史は宝亀5年(774)に光仁天皇の勅願により開創され、神願寺都賀尾坊にはじまるといわれる。その後荒廃するが、鎌倉時代に神護寺を再興した文覚上人により再建されたが、文覚が佐渡に流罪となり再び寺域は荒れ、文覚のの弟子・ 明恵上人 により再興されたという。

 幽玄の世界にあるような 高山寺には木の根道が山寺の趣きを誘う金堂に続く表参道と、石積みの上に築かれた白壁の塀と杉木立の中を歩く裏参道がある。

        高山寺1 金堂に続く表参道
                       
        風情ある白壁が続く裏参道 高山寺2

 裏参道を行くと国宝「 石水院 」の門がある。

        高山寺3

 「石水院」は鎌倉時代初期の様式を伝える遺構で、明恵上人が後鳥羽院より学問所として賜った建物という。板間に置かれている善財童子像が薄暗い光で出迎えてくれる・・・

   高山寺4
            愛らしい善財童子像

 開け放たれた堂内には清滝川からのさわやかな風が吹き抜け、縁側に座れば目にも鮮やかな新緑の栂尾の山々が見渡せる。アニメーションの原型ともいわれる寺宝の「 鳥獣人物戯画 (複本) 」や「明恵上人樹上座禅像」も「石水院」の中に展示されている。

 高山寺5  高山寺11
      「石水院」の庭                       新緑が目に染みる山々
 
 「石水院」の門をでると石殿を上に茶畑がある。明恵上人は臨済宗の祖である栄西から茶の種を贈られ、ここ高山寺の境内に植え、それが日本で最初の茶園となった。

         高山寺7 日本茶のルーツとなる境内にある茶園

 杉の大木を見上げながら進むと、境内には茶室遺香庵、開山堂、明恵上人の御廟がある。
                          
                 茶室遺香庵 高山寺6

        高山寺8 開山堂

              明恵上人の御廟 高山寺9

 さらに旧の石水院跡をへて金堂にでる。

        高山寺10 金堂

 金堂の下には急こう配な金堂道の石段があり、左手に茶園を見ながら表参道にでる。新緑に包まれた高山寺はみずみずしい空気と溢れるばかりの緑が広がり身も心も洗われるお寺でした。

 また、高山寺から清滝川沿いに清滝までの東海自然歩道は紅葉に染まった秋も素晴らしいが、新緑の中を鳥のさえずりを聞きながら光り輝く川の流れをみながらのハイキングは最高のコース、是非一度清滝川の渓谷美を堪能してください。

 高山寺12  高山寺13

    高山寺15



 

無鄰菴 ~ 元老山県有朋設計の風雅な庭園 ~

 京都市左京区の南禅寺界隈は明治20年代から昭和初期にかけて多くの別荘庭園がつくられている。
 その中のひとつ 無鄰菴 は明治・大正の元老 山県有朋 が造営した別荘である。東山を借景とした広大な庭園は自らが設計・監督により、造園家・小川治兵衛(7代目)が作庭にあたっている。

     無隣菴1 無鄰菴の入口 

 白壁と板張りの塀に囲まれた無鄰菴の中は仁王門通に面していてもまるで別世界のように静寂な時が流れている。広い敷地の中に建物は木造二階建ての母屋、茶室、煉瓦造の洋館の三棟があるだけであとはすべて庭園が占めている。洋館は日露戦争開戦を決定した『 無鄰菴会議 』が開かれた歴史ある場所である。

  無隣菴3
       木造の母屋

 木々に埋もれるように建つ茶室 無鄰菴7

 新緑に包まれた庭園は東山を借景とし、琵琶湖疏水から水を取り入れた池泉廻遊式で作られている。

  無隣菴4
       東山を借景とした池泉廻遊式庭園

   無隣菴8   無鄰菴2

     無隣菴5 新緑の庭園

          紅葉の庭園 無隣菴6

 母屋でお茶を頂きながら庭を眺めるのも良し、鳥の囀りを聞きながらゆっくりの庭を歩くも良し、芝生に佇み東山の山並みを見るも良し、京都の庭園でこれほど静かでゆっくりできるところがあるだろうか・・・この無鄰菴に来るたびに思ってしまう。

 そしてこの季節、無鄰菴とともに蹴上浄水場のツツジやサツキを見て回るのも楽しみのひとつになっている。むせかえるような花の香りが初夏の訪れを感じさせてくれる。斜面を彩る花は見ごたえがあるが敷地内には赤や赤紫、白の他に珍しい黄色のツツジなどいろいろな種類が植えられている。この季節限定ではあるが是非訪れてみてください。

  無隣菴9
       斜面を覆うツツジ

     無隣菴10 敷地内のツツジ

               
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