海龍王寺 ~ 平城京最古の寺院に安置される国宝 ~

     青丹によし 奈良の都は 咲く花の 薫うがごとく 今盛りなり

 と歌われた平城京の北東の隅に建てられたことから別名 隅寺 とも呼ばれる 海龍王寺 は 藤原不比等 の邸宅のあったところに 光明皇后 の発願のより 玄昉 が開基したと伝わる真言律宗の寺。海龍王寺の名の由来は玄昉が遣唐使として唐に渡る時航海の安全を龍王に祈願したからとも、唐から持ち帰った海龍王経という経典に因むともいわれている。

 表門を入ると簡素な参道の奥に山門が見える。

   海龍王寺7

 山門の右手には時代のある築地塀が・・・

                海龍王寺6

 境内には右に本堂、中央に西金堂、左に経蔵が建っている。本堂は江戸時代の再建で、鎌倉時代作の本尊十一面観音像が安置されている。たくさんの装身具を身に着けた華麗な姿の仏像を拝観できるのは春と秋の特別公開の時だけ。近年までは非公開だったといわれるだけに、唇や衣、手に持った蓮の花に緑と朱色が残り神秘的な美しさが漂う。

  海龍王寺1

 切妻造りの西金堂には国宝の 五重小塔 が置かれている。様式が薬師寺の東塔に似ているところから天平時代の作であろうといわれている。塔は見上げるのが一般的なので目の前で見る塔はなぜか模型のように感じてしまうがこれは国宝  

  海龍王寺2  海龍王寺3

 境内には他に経蔵がある。この経蔵には玄昉が暴風雨に襲われ、狂瀾怒涛に漂いながら持ち帰った五千余巻の海龍王経が納められてたのかと思うと神々しさを感じずにはいられない。

   海龍王寺5

 古木が茂る境内には東金堂跡もあり、かつてこの寺は小規模ながら伽藍のととのった寺院であったといわれる。

  海龍王寺4

 遣唐使の無事を祈った古刹には今も旅行や留学安全祈願の寺として訪れる人が多い。             
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不退寺 ~ 在原業平ゆかりの花の寺 ~

 平安時代初期の貴族・歌人の 在原業平 は

   ちはやぶる 神代もきかず 竜田川 からくれないに 水くくるとは  (百人一首)

   世の中に たえて桜の なかりせば 春の心は のどけからまし  (古今和歌集)

   名にし負はば いざこと問はむ 都鳥 わが思ふ人は ありやなしと  (古今和歌集)

 などで知られた 六歌仙三十六歌仙 のひとりである。
 そして昔から美男の代名詞のように言われる平安時代きってのプレイボーイとしても知られている。「 伊勢物語 」の主人公「 昔男 」のモデルとも云われ、関連した伝説は各地に伝わっている。

 奈良市法蓮町にある真言律宗寺院 不退寺 もそのひとつである。祖父にあたる平城天皇が隠棲した「萱の御所」の地に自刻の聖観音像を安置して創建したと伝わる。
 入口である南門は鎌倉時代末期の建立といわれる四脚門で重要文化財になっている。

    不退寺1

 刈り込まれた花木や草花が植えこまれた中にお寺というより邸宅のような建物が本堂である。

  不退寺2

 本堂中央には業平が刻んだ本尊聖観世音菩薩立像が安置され、五大明王像、阿保親王(業平の父)坐像が置かれている。また春と秋の御開帳日には在原業平画像が特別に公開される。

 境内右手の方にある平屋の建物は元は二層であったという多宝塔。

          不退寺3

 池を隔ててみると資料にあったようにまことに優美な姿をしている。

  不退寺5

 境内を散策しているとあちこちに業平に関連したものを目にすることができる。

 不退寺4  不退寺6
  なりひらばし                       歌碑

 歌碑には

    おほかたは 月をもめでじ これぞこの つもれば人の 老いとなるの
 
 この寺は「 業平寺 」と呼ばれているほかに「 花の寺 」としても知られてる。境内にはレンギョウ、椿、カキツバタ、萩、サネカズラ、ナンテン、千両など四季折々の花が咲き、訪れる人を楽しませてくれるのである。

 不退寺7  不退寺8
   サネカズラ                      椿

 また庫裏の庭には寺には珍しい 石棺 が書かれているが、これは近くに沢山の古墳があり、そこから運ばれたものだろうといわれている。

    不退寺9
 
  花データ

 ~ サネカズラ(美男蔓) ~ モクレン科 サネカズラ屬 常緑つる性木本
 関東以西の本州、四国、九州など暖地の山野に分布してる。昔はつるから粘液をとって整髪料に使用していたことから 美男蔓 とも呼ばれる。庭木としても垣根などに使用される。  

 

大笹原神社 ~ 国宝の本殿 ~

 野洲市大篠原、鏡山の裾のひっそりとした森の中にたたずむ 大笹原神社 平安中期に創建され、応永年間(室町時代)に領主馬淵定信が再建したといわれる古社である。

 国道8号線から大篠原の集落を通り抜けると参道の入り口に建つ赤い鳥居が見えてくる。

   大笹原神社1

 鳥居をくぐった左手に拝殿がありその奥に本殿が建つ。

   大笹原神社3  大笹原神社4

   大笹原神社5

 須左之男命ほか六神を祀っている本殿は、こじんまりとした外観ではあるが檜皮葺入母屋造りで、中世神社建築における傑作のひとつで国宝に指定されてる。装飾性に富む彫刻は東山文化の粋を極めているとされる。

 本殿の横に並ぶ境内社篠原神社は石凝姥命(日本神話にみえる神の名・天孫降臨神話に登場する女神)を祀り、春日造りの本殿は重要文化財になっている。

   大笹原神社6

 また境内には 寄倍(よるべ)の池 と呼ばれる底なし沼がある。その昔水不足から神輿を二基この沼に沈めて祈願したところ日照りが続いても水が枯れたことがない言われている。
 
   大笹原神社2

 ここ大笹原神社は人が在中しているわけでもなく国宝の建造物があるとは思えない、「鎮守さん」のような昔懐かしい感じの漂う神社である。

   

天孫神社 ~ 大津祭 元宮 ~

 大津祭 の元宮である 天孫神社 はJR大津駅から歩いてすぐの所に位置している。神社の由来によると延暦年間に創建されたといわれ、はじめ琵琶湖畔にあったが文明年間(室町時代)に現在地になり、平城天皇が近江行幸の際に行在所として禊祓(みそぎはらえ)されたこともあったという。地元では「 四宮さん 」とも呼ばれているが、近江の国の一宮(建部大社)、二宮(日吉大社)、三宮(多賀大社)、そして四宮が天孫神社で明治初年まで四宮神社と呼ばれていたためである。

   天孫神社1

 鳥居を入るとあまり広くない境内に舞楽殿、本殿とつづく。

            舞楽殿 天孫神社2

   天孫神社3 本殿

 境内には他に天神社、日若宮社、輻輳神社、八幡神社、蛭子神社、福富稲荷神社の摂社がある。

 天孫神社4   天孫神社5
   福富稲荷神社                      八幡神社
 
 天孫神社の秋の例祭が湖国三大祭のひとつとして数えられる 大津祭 である。宵宮では夕刻から飾られた提灯に灯りが入り、「コンコンチキチン」の祭り囃子が町に流れ、本宮では豪華絢爛な建懸装品に飾られた13基の曳山が市内を巡行する。大津祭の特色のひとつに曳山に取り入れられている人形の「カラクリ戯」がある。カラクリの題材は中国の故事や能、狂言から取り入れられており、「カラクリ戯」は曳山巡行中「所望」といわれる所定の場所で披露されるのである。京都の祇園祭の山鉾をまねて創られたと伝えられる曳山は、一流画家による天井画、染色画、ゴブラン織りの見送り幕や飾金具で豪華に飾られまさに動く芸術品なのです。

 天孫神社6  天孫神社7

 天孫神社は桜の名所でもある。満開の桜が散り始めると境内はまさに桜吹雪となり、ゆったりと桜を鑑賞するにはもってこいの場所である。

 ~ 参考データ 
 湖国三大祭
 
山王祭 
 五穀豊穣を祈る日吉大社の例祭。3月第一日曜から4月15日まで繰り広げられ、最大のみものは4月12~15日の神事で七つの神輿が琵琶湖を渡る様子はまるで歴史絵巻の様

長浜曳山まつり
 日本三大山車祭りのひとつで、豊臣秀吉が長浜城主だった時代に始まるといわれる。毎年4月13~16日に行われ、舞台付きの曳山でのこども歌舞伎の上演を中心とした祭で長浜八幡宮の春の例祭に奉納される。
    
大津祭
 江戸時代初頭から行われている天孫神社の例祭。体育の日の前々日の宵宮、体育の日前日に本宮が行われる。本宮には13基の曳山が巡行され、各曳山に取り入れられた「 カラクリ戯 」が巡行中「所望」といわれる所定の場所で披露される。    

神光院 ~ 西賀茂の弘法さん ~

 東寺、仁和寺とともに 京都三弘法 のひとつである 神光院 は西賀茂にあり「 西賀茂の弘法さん 」と親しまれている。もともとは上賀茂神社の境内にあった真言宗の寺で、本尊の弘法大師像は大師が自ら刻んだと伝わっている。

    神光院1 桜並木と石畳の参道

 桜が植えられた石畳の参道の奥に山門があり、「 厄除弘法大師道 」の石碑が立っている。神光院は厄除けの神としての信仰が厚い。

山門からは手入れの行き届いた庭が 神光院2

 またここは、江戸末期の女流歌人、陶芸家 蓮月尼(太田垣蓮月)の隠棲地でもある。蓮月尼は両親、夫、子に次々死別して出家、生涯孤高の生活を送ったと言われる。境内には蓮月尼ゆかりの茶屋や歌碑がある。

        神光院8 太田垣蓮月の由緒

               神光院7 

 庫裏の前の池の中に鎮守社、庫裏の横には本堂が並ぶ。

    神光院3 鎮守社と庫裏  

            本堂 神光院4

 さらに境内を廻ると弘法大師の像、本堂から回廊で結ばれている中興堂が建っている。
   
   神光院6 弘法大師像

            中興堂 神光院5

 木々に覆われた静かな境内は時代劇のロケ地としてよく使われているという。
  
 また境内には様々な草花や花木が植栽されており、四季折々訪れても花を見ることのできる花の寺でもある。

 神光院9  神光院10
  清楚な庭に似合う紫式部              春の庭に明るさを呼ぶ椿

 交通の便はあまり良くないがのどかでゆったりとした散策で訪ねるには良いお寺です 

  花データ

~ 紫式部 ~  クマツヅラ科 落葉低木

  日本、中国、台湾、緒戦半島に分布。秋に光沢のある紫色の小さな果実をつける。紫色の実から「源氏物語」の作者紫式部連想させて紫式部となったという説がある。

正伝寺 ~ 伏見城の遺構の本堂と枯山水の庭 ~

 京都には伏見城の遺構を移した寺社が多くあるが、西賀茂にある 正伝寺 もそのひとつ。本堂(方丈)ほ伏見城の御成殿を移築したといわれる。正伝寺は正伝護国禅寺という臨済宗南禅寺派の禅寺で、鎌倉時代東厳慧安禅師により創建された。

   正伝寺5

 山門を入ると山寺の趣きをもつ木立に覆われた参道が続く。

    正伝寺4

 正面の庫裏の手前の開けたところに鐘楼が建っている。
                  
                正伝寺6

    正伝寺3

 伏見城の遺構である本堂には狩野山楽の山水図の襖絵、城の名残りである「武者隠しの間」がある。本堂の広縁の天井は伏見の戦いの遺構である血染めの廊下板を使った「 血天井 」で知られる。

                正伝寺2

 本堂前に広がる枯山水の庭園は「 獅子の児渡し 」と名づけられ、比叡山を借景としている。

   正伝寺7

 白砂とサツキの丸い刈込が配置されているだけの清楚な庭と築地越し山内の緑、その間に見える比叡の霊峰はこの寺ならではの眺めと言えるだろう。塀の奥にある枝垂れ桜が咲く春、サツキの花が庭を染める初夏比叡の山から上がる名月、紅葉に染らえた晩秋とこの庭の姿は変わるが白砂に覆われた庭園は見る人に心の静けさを教えてくれる気がする・・・

   正伝寺1 広縁で休むカマキリ

 正伝寺は閑静な山寺の風情とともに美しい枯山水の庭園はひと時の安らぎを与えてくれる素晴らしいお寺です。

横蔵寺 ~ 美濃の正倉院 ~

 岐阜県揖斐郡揖斐川町谷汲にある 横蔵寺 (よこくらじ)は延暦20年(801年)に 伝教大師最澄 が自作の薬師如来を祠ったことがはじまりとされる天台宗の寺院。西国33カ所観音霊場最後の札所である 華厳寺 の西方の山間に位置している。国の重要文化財に指定された22体の仏像、多くの絵画や書籍を蔵していることから『 美濃の正倉院 』と呼ばれている。寺の案内書によると、平安、鎌倉時代にはこの辺りの本山として学問や文化の中心として栄えたという。記録によれば、薬師堂、三重塔、楼門、政所をはじめ38の僧坊があり山内には百数十人の僧侶が住んでいたようだ。
 
 山裾の境内は少し赤みを帯びた木々に覆われて、静寂の中に水の流れる音と鳥の声が心地よく響く・・・
参道から飛鳥川にかかる医王橋を渡り、放生池を見ながら進むと右手に寺門、正面に鐘楼を兼ねた仁王門が迎えてくれる。

   横蔵寺1 朱色が映える医王橋 

     風格を感じさせる寺門 横蔵寺9

          横蔵寺4 鐘楼を兼ねた仁王門

 香堂の右に三重塔、奥に本堂、さらに奥に観音堂が建てられている。本堂、三重塔ともに江戸時代初期の建造になるという。三重塔は現在、修理中(完成は平成26年秋の予定)のため、外観も見ることが出来ないのは残念だが

   横蔵寺3 香堂の奥に本堂が 

  横蔵寺6  横蔵寺7
    本堂                            観音堂

 飛鳥川を挟んで少し小高い広場には瑠璃殿と舎利堂がある。この瑠璃殿の中に22体の仏像が置かれ、秘仏である本尊木造薬師如来坐像以外は拝観できる。珍しい玄奨三蔵のお供のひとり、木造深沙大将立像(「西遊記」の沙悟浄)、板彫法華曼荼羅、木造大日如来坐像などどれも見ごたえがある仏像ばかり。
 多くの文化財を有する横蔵寺はまた 舎利仏(ミイラ)の寺としても知られている。舎利堂には200年前に即身成仏したという妙心上人の舎利仏が安置されている。横蔵の地に生まれた上人は両親の没後、諸国を仏道修行し山梨の洞窟で即身成仏した後に、出生地にある横蔵寺に祀られることになったという。全く人の手を施すことなく現在に至っているという舎利仏は、袈裟をかけ、首を少し傾けて安置されている。その姿には信仰の厚さをまざまざと見せつけられた思いがする。

 またここは紅葉の名所としてもよく知られたところで、11月にはライトアップされて鮮やかさの増した紅葉が境内を染め、多くの観光客が訪れる人気のスポットとなる。

   横蔵寺2 紅葉シーズンの待つ飛鳥川

     モミジの生い茂る境内 横蔵寺8
     
 華厳寺、横蔵寺は東海自然歩道でつながる人気コース、紅葉を見ながらのトレッキングもオススメです。
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