大池寺 ~サツキの咲く蓬莱庭園~

 サツキの刈り込みで蓬莱(不老不死の地)を表現した蓬莱庭園で知られる、臨済宗妙心寺派の大池寺(だいちじ)は甲賀市水口町名坂にあり、天平年間に行基によって開基された古刹である。寺伝では、この地を訪れた行基が、日照りに悩む農民のため、寺の周囲に4つの大きな溜め池『心地(しんじ)の池』を造り、そのほぼ中央に本堂を建てたのが始まりとされ、寺名もこのことに由来しているとのこと。
 刈り込みの垣に囲まれた長い参道を行くと、山門と白壁が印象的な塀の奥に本堂が建っている。新緑のこの季節は、緑の中に瓦が眩しく映る

  大池寺

 御本尊の釈迦如来像は行基の作といわれるひと彫りごとに三排したと伝わる「一刀三礼の釈迦丈六坐仏」で慈悲深い眼差しが印象的な仏様だ。本堂から書院に向かうと、目の前に現れる蓬莱庭園 この庭園は、水口城落成を祝して小堀遠州が築いたといわれる、『サツキの大刈込み観賞式枯山水庭園』。二段の大刈込みは海の大波小波を表し、白砂の上に宝船を浮かべ中に七つの石と小さな刈り込みで七宝と七福神を象徴しているという。
5月下旬から6月上旬には紅白のサツキが咲き乱れ、友禅模様の如く華麗な眺めを堪能することができる。さらに、春は椿・桜・サツキ、夏にクチナシ・サルスベリ、秋にモミジ・ドウダンツツジ、冬は千両・サザンと花の絶えな庭は四季を通じて鑑賞できるのも魅力である。

また、庭園の中にある『水琴窟』にも耳を傾けて欲しい。静寂の中で奏でられる水の音は、ひと時の癒しの空間へといざなってくれるに違いない。

 大池寺・蓬莱庭園

 

 前庭には樹齢350年以上といわれる『開山臥龍の松』があり、その姿には生命力の凄さを感じてしまう思い

  大池寺・臥龍の松

 さらに、山門手前に広がる『回遊式琵琶湖庭園』も見どころのひとつ

大池寺・サツキ  大池寺・睡蓮
咲き誇るサツキ                     池に浮かぶ睡蓮 
   
大池寺・春モミジと竹の秋  大池寺・ヤマウツギ
 竹の秋と春モミジ                    ヒメウツギの花


 山門から右手には池を利用した自然散策路が整備されていて、折々の花や野鳥の声も楽しむことのできるエリアもあるので、ゆっくりと時間をかけてみたい。


花データ

サツキ~ ツツジ科 
  山奥の岩肌などに自生するが、盆栽などで親しまれている。サツキツツジなどとも呼ばれており、旧暦五(皐 月)頃一斉に咲き揃うところからその名が付いたといわれる。
睡蓮~ スイレン科
  水位が安定した池などに生息し、水面に葉や花を浮かべ、5月下旬から7月上旬ころまでと花期も長い。
 人間とのかかわり合いも古く、古代エジプトの  壁画や彫刻、発見された壺などにも描かれている。また睡蓮 をモチーフにした、印象派の画家クロード・モネの大作『睡蓮』もよく知られている。 

参考データ

 『竹の秋』とは
  春の季語で、毎年5月から6月に竹類は新しい葉に更新する。その更新時に紅葉するので 竹の秋 と呼ばれている。ほんの短い期間などで知らないうちに過ぎてしまうことも多い。
 
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常楽寺 ~湖南三山~

 湖南市西寺・阿星山の北山麓に位置する常楽寺は、前回紹介した長寿寺の東寺に対し、西寺にあたる。鎮護国家、鬼門除けのため、元明天皇の勅命により創建され、奈良時代・和銅年間に良弁僧正が開基した阿星山五千坊の中心寺院のひとつで、現在は近江西国観音霊場第一番札所になっている。

  常楽寺

  常楽寺・山門

 常楽寺と彫られた石柱の奥に山門が建っている。この山門にはかつて、運慶作の金剛力士像が安置されていたが、徳川家康の意向で三井寺に移されたという。湖南三山の寺宝は、長寿寺の三重塔にしても、常楽寺の金剛力士像にしても時の権力者の意のままにされてしまうのかと思うと世の無常を感じる 

山門を入り参道を進むと本堂とその奥に三重塔が一度に視界に入る、常楽寺ならではの景色が現れる。

  常楽寺・本堂

 境内で悠然と構える国宝の本堂は、南北朝時代に再建された入母屋造りの檜皮葺。本堂内中央には秘仏の本尊・千手観音坐像が安置されており、周囲には二十八部衆立像が安置されている。これらの仏像は小ぶりながら、一体一体に個性があり、迫力を感じさせてくれる。

          常楽寺・三重塔

 本堂奥にある、こちらも国宝に指定されている三重塔は室町時代に建てられたものといわれる。

これほど素晴らしい国宝の建築様式美に出会える常楽寺だが、通常は団体のみの予約で拝観になっているのでご注意を

  但し、秋に、期間限定で予約しなくても拝観することができるのでその機会に、湖南三山めぐり良いのでは・・・
 どのお寺も秋の紅葉に彩られ、いっそう趣きある佇まいが楽しめるので、是非訪ねてみたい

長寿寺 ~湖南三山~

 奈良の都・平城京に東大寺と西大寺があったように、紫香楽宮造営のときにも東寺西寺が築かれた。湖南市東寺にある『長寿寺』がその東寺である。聖武天皇の勅願によって良弁僧正が創建したとされ、源頼朝や足利尊氏など時代の権力者から手厚い保護を受け繁栄。長寿寺の名の由来は、聖武天皇の皇女の長寿を願い寺号を授けたことが始まりとされている。

 山門から木立に覆われた参道をゆくと正面に国宝指定の寄棟造檜皮葺きの本堂が見えてくる。簡素な造りであるが屋根の反転曲線が美しく、いかにも里人に親しまれていそうな穏やかな寺である。紅葉の季節は参拝する人も多いようだが、この季節は人影もなく新緑に覆われた境内で静かに眺められることができる。

  長寿寺・本堂

 また、本来ならばこのお寺に建っているはずの三重塔は、織田信長の手によって安土城山中の摠見寺(信長の菩提寺)に移築され、現在は跡地のみになってしっまたことは非常に残念なことに思える

  長寿寺・三重塔跡

          長寿寺・總見寺三重塔 
            移築された安土城跡にある摠見寺三重塔

 境内にある池には室町時代に建立されたとみられる弁天堂がある。ほぼ真四角なお堂で、小さな造りだが本格的な構造になっているという。

  長寿寺・弁天堂

 本堂から左側の奥まったところには、長寿寺の鎮守社である白山神社が建っているのでこれも見ておきたい。

長寿寺・白山神社本殿  長寿寺・白山神社拝殿
   本殿                         拝殿(重文)

  近年造られた収納庫に保管された、大迫力の丈六阿弥陀如来坐像は必見  

善水寺 ~湖南三山~

 滋賀県湖南市に位置する天台宗の「善水寺」「常楽寺」「長寿寺」は湖南三山と呼ばれ、創建が奈良時代までさかのぼる古刹。本堂や仏像など知られざる国宝・重要文化財の宝庫でもある。

 湖南市岩根にある善水寺は奈良時代和銅年間(708~715)に元明天皇勅命により鎮護国家の道場として建立され、創建当初は「和銅寺」とよばれていたが、最澄が境内の湧水に法力を施し、病身の桓武天皇に献じたところ病が治ったことから『善水寺』の号を賜り、寺名に変わったと伝えられる。資料によると、「善水」とは本来、医王善逝の御香水(いこうぜんぜいのおこうずい)ともいい、医王とは薬師、善逝とは如来の意味があり、百伝の池水を元水として、本尊の釈迦如来の呆前にて祈願した水のこと。境内には今でも名水が湧き出ていて、参拝者が汲むことができる。

  善水寺・百伝池 百伝の池


  善水寺・霊水場 霊水場

 国宝である本堂は、南北朝時代に建てられ、入母屋造檜皮葺きの堂々たる構えを見せている。

  
  善水寺・本堂


 堂内には、厨子に安置した秘仏である「木造薬師如来坐像」を中心に色彩色豊かな梵天・帝釈天・四天王・十二神将、毘沙門天、持国天・増長天が立ち並ぶ。その堂々たる姿は見る人を圧倒させることうけ合い 
 また、これら諸尊の配置形式は延暦寺根本中堂の諸尊配置を推測する上で重要とされ、本堂の建築様式を含め初期の天大寺院の寺観を知る上で貴重とされる。

 境内には他に元三大師堂や行者堂、本堂から階段を下ったところには観音堂がある。

善水寺・元三大師堂 善水寺・観音堂
  元三大師堂                      観音堂

また、四季折々の花も植えられ、参拝者の目を楽しませてくれるのがうれしい

善水寺・ツツジ 善水寺・モミジ
  ミツバツツジ                     モミジ


花データ 

ミツバツツジ~ ツツジ科 落葉低木
 4~5月頃に咲く咲き、花が終わってから葉が出てくる。枝先に三枚の葉がつくことからこの名がついた。

恵心院 ~季節の花に癒されて~

 宇治川の東岸、朝霧橋からすぐの参道を上った丘の上にある恵心院  弘法大師によって創建された古刹で、かつては『龍泉寺』とよばれていたが、1005年に「往生要集」著者、恵心僧都源信によって再興され、恵心院と称するようになったという。恵心僧都とは平安時代中期の天台宗の僧で、信仰心の篤い母の影響で、9歳で比叡山の中興の祖慈覚大師良源に入門。15歳で法華八講の講師に選ばれ、母に褒美の品を送ったところ、母は源信を諌める和歌を添えて送り返した。その後、諫言に従い、名利の道を捨てて、比叡山横川に隠棲し、念仏三昧の道を選んだという。また、『源氏物語 宇治十帖』中、宇治川に入水した浮舟を助けた「横川の僧都」のモデルといわれている。

ゆったりとした参道には今の季節、若葉の下で山吹の花が揺れ、たどり着いた表門の奥に本堂が残っているだけ。

 恵心院・参道

 恵心院

 境内にはご住職が自ら植えられた四季折々の花や花木が咲き乱れ、訪れる人の心を癒してくる。

恵心院・ヒラドツツジ  恵心院・シャクナゲ
  ヒラドツツジ                      シャクナゲ

恵心院・ヒメウツギ  恵心院・唐種オガタマ
  ヒメウツギ                       唐種オガタマ

 恵心院を後に、宇治川沿い散策。これからの季節は新緑が美しく、木漏れ日と太陽に反射した水の煌めきに身も心も癒されること間違いなし

  宇治川

  宇治川・新緑
   

 花データ

ヒラドツツジ~ ツツジ科 常緑低木
  長崎県平戸市で自然交雑により出現した品種の総称。白、桃紫、緋赤、底紅など各色あり、公共施設、学校などに多く植えられている。京都蹴上浄水場がよく知られている。

シャクナゲ~ ツツジ科 耐寒性常緑広葉樹
  花色は紅紫、白、桃、赤、黄がある。尚、葉にはロードトキシンが含まれるので有毒植物として扱われる。
  
ヒメウツギ~ ユキノシタ科 落葉低木
  日本原産の植物で、古くから庭園樹として利用されている。

唐種オガタマ~ モクレン科 常緑紅葉低木
  中国原産で江戸時代に渡来、縁起の良い花として暖かい地方の神社の境内や庭に植えられている。ババナのような甘い香りがある。 
  
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