白鬚神社 ~ 湖中大鳥居で知られる近江最古の大社 ~

 水中に浮かぶ鳥居といえば世界遺産にもなっている宮島の厳島神社が有名ですが、滋賀県高島市にある 白鬚神社(しらひげじんじゃ) も『近江の厳島』として親しまれる湖中に立つ朱塗りの大鳥居が有名な神社です。由緒によれば、白鬚神社は垂仁天皇の皇女倭姫命が猿田彦命を祭神に創建した近江最古の神社とされ、日本全国に約300の分霊社が祀られているといいます。祭神の猿田彦命は天孫降臨の際、瓊瓊杵尊(ににぎのみこと)の道案内をされた神で、『道開きの神』として知られていますが、この白鬚神社で祀られている猿田彦命は白髪で白い鬚を蓄えた老人の姿で、『延命長寿の神』としても信仰を集めています。また、その縁起は謡曲『白鬚』でも謡われています。

 琵琶湖西岸、琵琶湖を代表する景観にもなっている湖中の大鳥居。案内によれば、神社前の湖中に鳥居があったという伝説や絵画から、昭和12年(1937)に復興寄進され、昭和56年(1981)に再建されたものといいます。足元に寄せる波を受けながら、湖中から社を見守る鳥居に逞しさを感じます。

   白髭神社1
     琵琶湖を代表する景観になっている湖中大鳥居

 社殿は国道と湖中大鳥居をはさんで向かい側にあり、風格のある入母屋造り檜皮葺の本殿は慶長8年(1603)に豊臣秀頼と淀君が寄進したものといい、国の重要文化財になっています。

  白髭神社2  白髭神社3
                                   拝殿

   白髭神社4
    本殿・絵馬殿

  白髭神社6  白髭神社7
    皇大神宮                         豊受大神宮

  白髭神社5  白髭神社8
    若宮神社                         八幡・加茂・高良神社

   白髭神社9

 また、白鬚神社には多くの著名人が参拝し句や歌を残しており、境内にはいくつかの句碑や歌碑が立っています。

 白髭神社12  白髭神社10
   松尾芭蕉の句碑                    与謝野鉄幹・晶子夫妻の歌碑

     松尾芭蕉の句
       四方より 花吹入れて 鳰の湖

     与謝野夫妻の歌
       しらひげの 神のみまへに わくいづみ これをむすべば ひとの清まる  
     

          白髭神社11  紫式部の歌碑

      紫式部の歌
        みおの海に 綱引く民の てまもなく 立ちゐにつけて 都恋しも

 延命長寿・縁結び・子授け・・・・人の世の総ての導きの神として信仰を集める近江最古の神社 白鬚神社 境内にはお宮参りの家族、『ビワイチ(びわ湖一周サイクリング)』を楽しむ若者などに混じってアジア系の観光者も訪れ参拝している姿が。帰りがけ再び湖中の大鳥居を眺め、今度は早朝に対岸の山の間からのぼる朝日を浴びた鳥居を見てみたいと・・・叶えられそうな期待を胸に境内を後にしました。
 
スポンサーサイト

奥石神社 ~ 歌枕で知られる老蘇森にたたずむ古社 ~

 滋賀県近江八幡市安土町東老蘇の国道8号線沿いから見える鬱蒼と生い茂る森は、古来より 老蘇森(おいそのもり) と呼ばれ、万葉の時代から繰り返し讃えられた歌の名所。伝説によれば、この一帯は地裂けて水が湧き、人の住めるところではなかったが、石部大連という翁が樹を植えて、神々に祈願したところ、たちまち大森林となり、この大連が百数十歳まで歳を重ねたことから『老蘇森』と称せられたといいます。今も杉や檜、松などが生い茂るその老蘇森の中に 天津児屋根命を祭神とする 奥石神社(おいそじんじゃ) の社があります。この社は中世、近江守護としてこの地を支配した六角氏の居城があった繖山(観音寺山)をご神体として遥拝する祭祀場だあったといわれています。その奥石神社は『鎌宮(かまみや)』とも呼ばれていますが、これは『蒲生野宮(がもうのみや)』が訛ったものと考えられているそうです。

 中山道に面してたつ鳥居からは巨木の連なる表参道が、寂静な空気に包まれて真っすぐに伸びています。

  奥石神社1  奥石神社2
    中山道の面した表参道の鳥居            巨木に覆われた参道

 初秋の風が吹き抜け、漂う森の香りが漂う参道・・・いにしえ人がもてはやした意味がなんとなく分かるような気がしてきました。

  奥石神社4  奥石神社3 
    参道のある吉住大明神                 静まり返る森

 境内に入ると深緑の樹木を背に社が建っています。

  奥石神社5  奥石神社6
    境内                            拝殿

   奥石神社7
     本殿

 拝殿の奥に本殿、諏訪神社本殿が並び、本殿は織田信長が再建させたと伝わり、安土桃山時代の華麗な装飾がほどこされた神社建築になっているそうです。

  奥石神社8  奥石神社9
    豪華で優美さが漂う本殿                諏訪神社本殿

 古代から知られる老蘇森、その中にひっそりとたたずむ奥石神社、どこか神秘的な思いがする神社でした。   

太郎坊宮 ~ 太郎坊天狗が守護する勝利と幸福を授ける神社 ~

 滋賀県東近江市の赤神山の中腹にある 太郎坊宮 は『勝運授福』『厄除開運』の神として信仰を集める神社で、正式名を 阿賀神社 といい、創建は約1400年前と伝えられています。そもそも太郎坊とはこの社を守護する天狗のこと。京都鞍馬に住む次郎坊天狗の兄で、この赤神山で修行をしながらご祭神の『正哉吾勝勝速日天忍穂耳尊(まさかあかつかちはやひあめのおしほみみのみこと)』を守っていたといい、通称名の 太郎坊宮 が世間では有名になったいいます。

 巨大な岩石を露出した赤神山の麓にある伝教大師最澄が創建してと伝わる 成願寺 の境内にある参道から石段を上り太郎坊宮へ。

  太郎坊1  太郎坊2
    成願寺                           太郎坊参道

 祈祷所のある広場でひと休みして本殿を目指します。願掛け天狗が迎えてくれる入口の先には絵馬殿があり、そこから蝉しぐれの表参道(男坂)をのぼっていくと、仰ぎ見るような岩石の上にいくつもの建物があり、やがて拝殿が見えてきます。

  太郎坊3  太郎坊4
    願掛け天狗                        絵馬殿
  
  太郎坊5  太郎坊6
    拝殿                            表参道

 拝殿からさらに石段を上ると愛宕社、稲荷社の社が並び、その横には源義経が鞍馬山を下りて、奥州に向かう途次、この山に登り源氏再興を祈願したという故事があり、その時休息してと伝わる『源義経 腰掛岩』があります。

  太郎坊7  太郎坊8
    源義経 腰掛岩                     夫婦岩

 そして、その岩の前には『夫婦岩』と呼ばれる巨大な二つの岩がそびえ立っています。別名『近江の高天原』とも称される巨岩は、その昔大神の神力を以って左右に押し開き造られたと伝えられており、幅約80㌢の隙間を悪心のある者が通ると岩にはさまれるという伝承もあるだけに、岩の間を通り抜けるときは身も心も引き締まり、霊感を覚えるような神秘的な気持ちに・・・夫婦岩を通り抜けると眼下には取り入れが終わった蒲生野の初秋の風景が広がっていました。  

   太郎坊9

 本殿はその上の境内の中で最も高いところに建てられています。

   太郎坊10

 本殿に参拝したのちは寿老人や弁財天の石像が並ぶ裏参道(女坂)を下ってい行きます。

  太郎坊11  太郎坊12
    裏参道                           弁才天

 心地よい初秋のかげに身を任せ、石段を下りていくと、入口にたくさんの絵馬がかけられた一願成就社が建っています。。この社は参拝者が自ら願掛け神事を行うところで、社の脇にはお百度参りに願掛け道があり、石に願いを書き納める石塚があります。また道の途中には天狗や役の行者の象も祀られています。

  太郎坊13  太郎坊14
    一願成就社                        天狗象 

 また、願掛け道からは遥かかなたに比叡山を望む風景も。

   太郎坊15

 山の中腹に境内を構える太郎坊宮、御神徳を得られることはもちろん、参道の至るところで出会う巨石や怪石、眼下に広がる四季折々の田園風景、遥かかなたの山の眺望と魅力あふれる神社です。

近江神宮 ~ 天智天皇ゆかりの『かるた』の聖地 ~

 滋賀県大津市にある 近江神宮 は大津宮を営んだ天智天皇ゆかりの地に、皇紀2600年を記念して昭和15年(1940)に建立された神社。 祭神の天智天皇は日本で初めて漏刻(水時計)を造り時刻制度を定めといわれていることに因み、毎年6月10日に『漏刻祭』が行われ、また、『小倉百人一首』の第一首目の歌を詠んだことに因み、競技かるたの大会が開催さることでも知られています。時の記念日を前に久しぶりに近江神宮を訪ねてみました。

 道路に面した一の鳥居から高い樹木に囲まれた参道を行くと二の鳥居、その石段を上ると鮮やかな朱塗りの楼門がそびえています。

  近江神宮1  近江神宮2

 楼門を入ると正面の外拝殿が参詣者を迎えてくれます。近江神宮の社殿は『近江造』と呼ばれる近代神社建築の代表的なもので、山麓の斜面に本殿・内外拝殿を回廊が取り囲む独特な造りをしています。 近江神宮は、大化の改新を断行し日本の運命開拓の神、時の祖神を祭神としていることから、開運・学問などの信仰を集めています。

  近江神宮3  近江神宮4
    外拝殿                           内拝殿

   近江神宮5
      本殿と内拝殿 

 そして、競技かるた名人位、クイーン位決定戦はこの境内にある神楽殿で行われています。 
 
 近江神宮6  近江神宮7
    神楽殿                          百人一首の歌が掲げられた回廊

 また、境内には漏刻(水時計)、古代式火時計、日時計が置かれ、時計館宝物館内には和時計や日本最古の懐中時計などの貴重な時計も展示されていました。

  近江神宮8  近江神宮9
    漏刻(水時計)                      古代式火時計

  近江神宮10  近江神宮11
                              日時計

              近江神宮12
                 時計館宝物館

 日本の長い歴史の中にあってあまりにも短かった大津京、その跡地といわれる場所に建つ近江神宮は今、映画『ちはやぶる』の舞台となって脚光を浴びているようです。境内に並んでいる歌碑や句碑を見ながら、百人一首をまたひも解いてみたいと思いました。

唐崎神社 ~日吉大社西本宮の鎮座にかかわる古社 ~

 琵琶湖西岸の大津市唐崎にある 唐崎神社 は山王総本宮の 日吉大社 の摂社のひとつです。 ご由諸によれば、日吉大社で代々神職を務められた琴御館宇志丸宿禰がこの地に居住し『唐崎』と名付け、天智天皇が奈良の三輪山から大己貴神を勧請された際、琵琶湖を渡り、この唐崎の地に降り立ち、日吉大社の西本宮に祀られたといわれています。神社のご祭神は琴御館志丸宿禰の妻・女別当命、創建は持統天皇の御代と伝えられています。そして境内にある有名な『唐崎の松』は志丸宿禰が松を植えたことに始まったといわれています。

 JR唐崎駅から東に向かい国道161号線を北に行き、右手の側道を入ると赤い鳥居が見え、その先には拝殿と豊かな水をたたえた琵琶湖が姿をあらわします。

   唐崎神社1

  唐崎神社2  唐崎神社3

 平安時代にはこの唐崎に地は天皇の災厄を祓う『七瀬祓所』のひとつとして重視され、また『枕草子』では湖畔の名勝として紹介されています。さらに室町時代に『近江八景』の中の『唐崎の夜雨』の舞台になっています。

  唐崎神社7  唐崎神社6

 境内に中ほどにある『唐崎の松』は現在三代目ですがその堂々たる姿には圧倒されます

   唐崎神社4

 そして松の根元には近江をこよなく愛した松尾芭蕉が詠んで歌碑が

   唐崎神社5
       唐崎の 松は花より 朧にて 

 また歌川広重の『唐崎の夜雨』の浮世絵にもこの老松が描かれています。

 古代から多くの歌人に愛された名勝 唐崎
 万葉集の中にも柿本人麿のこの歌があります。 

    さざ浪の志賀の唐崎さきくあれど大宮人の船待ちかねつ

 かつての景観は失われてしまったといわれる唐崎ですが、境内の真ん中でそびえ立つ松、雄大な琵琶湖、遠くに霞む山並み・・・広々とした草むらからの眺めはまだまだ捨てがたい風景でした。
プロフィール

ポピーランド

Author:ポピーランド
FC2ブログへようこそ!

アクセスカウンター
最新記事
最新コメント
最新トラックバック
月別アーカイブ
カテゴリ
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QR