石光寺 ~ 中将姫ゆかりの花の寺 ~

 中将姫が蓮糸を織って作った當麻曼荼羅を本尊とする當麻寺から北にしばらく行くと、『関西花の寺二十五カ所霊場会』のひとつ 石光寺 があります。寺伝によれば、その昔、付近にあった大石が毎夜霊光を放っていたので掘ると弥勒菩薩が現われたことから勅願により堂宇を建立し『石光寺』の名を賜り、役行者を開山とし、弥勒菩薩を本尊として祀ったことがはじまりといいます。境内には、中将姫が當麻曼荼の蓮糸を洗い清め、側の桜の木にかけて干すと五色の色に染まったかことから、その井戸を『染の井』、桜の木を『糸掛け桜』と呼ばれ、寺名も『染寺』とも呼ばれています。

 『日本最古 白鳳弥勒菩薩石仏の寺』の石柱をみながら山門を入ると、『想観の沙』と名付けられた円形と方形のふたつの白砂が置かれています。

  石光寺1  石光寺2
    山門                            想観の沙

 『』を『』と書くのはお釈迦様が沐浴されたガンジス河の沙の例えているからで、手前の方形は私たちの世界をあらわし、後方の円形は覚りと仏を意味しているといいます。

 境内ではこの寺の代名詞でもあるボタンととも植えられたさまざまな草花が、受付の建物では安置されている役行者の像が参拝者を迎えてくれます。

  石光寺10  石光寺9
                                   槇の木の下で咲くアカンサス  

 本堂には阿弥陀如来像、弥勒堂には日本最古の石仏といわれる弥勒菩薩が祀られていますが、御開帳は1月と4~5月になっているそうです。            

  石光寺3  石光寺4
    本堂                            弥勒堂

 そして、中将姫ゆかりの井戸が境内に一角にあります。囲いがあるので中を見ることはできませんが、置かれている中将姫の像が伝説を偲ばせます。

   石光寺5

 青葉に包まれた境内を散策していると、沙羅双樹に出会いました。仏教では、御釈迦様は二本並んだ沙羅の木の下で入滅されたといわれることから般涅槃の象徴とされる沙羅の木、日本における沙羅双樹は夏椿になり、このを見るたびに、『平家物語』の『祇園精舎の鐘の音 諸行無常の響きあり 沙羅双樹の花の色・・・』の一節が思い出されます。わずか一日の花の寿命、ツバキ科である花は花びらを散らすことなくそのままで地面に落ち、消えてゆく儚さ・・・ひと時、感傷が胸に迫ります。

   試行寺6

  石光寺7  石光寺8

 そしていつかまた、綿帽子を被った寒ボタンや色鮮やかに咲き誇る春ボタンを観に訪れたいと願いながら境内をあとにしました。


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當麻寺 西南院 ~ 西塔を借景とした関西花の寺霊場 ~

 當麻寺塔頭 西南院 は當麻寺の裏鬼門を守る寺院として創建された古刹で、西塔を遠景にした庭園が鵜之市区、その庭園を彩るシャクナゲやボタンでも知られ、『関西花の寺二十五カ所』の札所にもなっています。

 山門を入ると『ボタン園』が広がりその先、庫裏の後ろ側に改修工事のため覆いをされた西塔がそびえています。

  西南院1  西南院2
    山門                            庫裡と改修中の西塔

 庫裡から書院、本尊・十一面観音が安置されている本堂が並ぶ庭にはさまざま花が植えられ、参拝者を迎えてくれています。

  西南院3  西南院10
    本堂                           

 そして、書院の前には池泉回遊式の庭園が広がっています。

   西南院5

  西南院4  西南院6

 山裾を利用した庭園は江戸初期に造られたもの、その後改造されたといいます。青もみじに包まれた庭園は、心字池に飛び石や石組み、さまざまな樹木の刈込が配され、それぞれの季節を彩り、二か所に置かれている水琴窟に耳を寄せれば、その音色に心が和らいできます。

  西南院7  西南院9
    水琴窟                           夏の庭を彩るアジサイ

 残念ながら庭園の池に映る西塔の姿は見ることができませんでしたが、夏の光に包まれ、青葉が揺れる庭園はひと時の清涼感をもたらしてくれました。


當麻寺 奥院 ~ 浄土宗の大和本山に広がる浄土庭園 =

 當麻寺塔頭 奥院 は室町時代の応安3年(1370)に、浄土宗総本山知恩院の『奥之院』として建立された寺院。奥院を開山した誓阿普観上人は知恩院の住職で、戦火に満ちていた京都から後光厳天皇の勅許を得て、知恩院の本尊として安置されていた法然上人像を遷座し往生院として建立したといいます。以来、浄土宗の大和本山として人々の信仰を集める名刹です。

 當麻寺の本堂の奥に位置する奥院、そびえたつ楼門をみながら南門(黒門)を入ると江戸時代に転写された當麻曼荼羅や仏像などが保管されている宝物館があり、青もみじに覆われた参道をのぼると本堂や阿弥陀堂などの伽藍が建っています。

  奥院2  奥院1
    楼門                            黒門(南門)

  奥院3  奥院4
    鐘楼                            

  奥院6  奥院7
    本堂                            阿弥陀堂

   奥院5
     正玄関と大方丈

 蓮の鉢植えが整然と並ぶ境内、本堂、阿弥陀堂の建物をみながら先に進むと、広大な庭が広がっています。『浄土庭園』と呼ばれる庭園で、巨石とともに阿弥陀如来や地蔵菩薩など数多くの石仏が並び、さまざまな草木が季節を彩っています。

  奥院8  奥院10
    地蔵菩薩石像                      阿弥陀仏石像

  奥院11  奥院12

 雄大な自然が取り込まれたような庭園に身も心も癒されながらスロープを進むと、青葉の中に阿弥陀仏が安置されていて、その姿を池に映しています。さらに睡蓮の花が咲く宝池には阿弥陀堂や本堂が影を落とす美しい景観が広がっています。

   奥院9

 當麻寺は『ボタンの寺』として知られていますが、それはこの奥院大方丈仏間の天井にボタンの絵が描かれていたことから、奥院の庭園にボタンを植えて、仏前に御供しのが始まりで、その後、それぞれの塔頭にも植えられるようになり、ボタンの名所となったといいます。二上山を背景に豊かな自然の景観に包まれた浄土庭園、石仏や巨石の中に咲くボタンが咲く光景、是非一度その季節に参拝したい思いながら境内をあとにしました。

 

當麻寺 中之坊 ~ 中将姫が髪を落飾したと伝わる寺の名園 ~

 二上山の麓に伽藍が広がる當麻寺、その伽藍を守護するように周囲には塔頭が建っています。仁王門をくぐってすぐ左手にある 中之坊 はそれらの塔頭の中で最も古い由緒と格式のある寺院で、寺伝によれば、もとは『中院』と呼ばれ、代々當麻寺の住職の住房として受け継がれ、當麻寺を護持してきた筆頭寺院といいます。弘仁時代には14世実弁上人が弘法大師に教えを授かり、以後、當麻寺は真言宗の霊場となり、中之坊は別格本山として大師信仰の中心を担っているといいます。

 當麻寺の参道に面して開く山門をくぐると、庫裡と書院の建物の間に東塔の相輪と檜皮葺の屋根が見えています。

  當麻寺中之坊1  當麻寺中之坊2
    山門  

 花木や草花が植えられた境内を進むと、中将姫が剃髪したといわれる授戒堂で、『導き観音』と呼ばれる十一面観音が安置されている中之坊本堂が建っています。安置されている十一面観音は中将姫の守り本尊であることから女人の守り本尊としても信仰されているといいます。

   當麻寺中之坊3
      中之坊本堂  

 導き観音に参拝し、仏道を志す中将姫の信念により石に足跡が付いたという『中将姫誓いの石』、役行者が秘薬『陀羅尼助』を作るときに用いたといわれる『役行者加持水の井戸』などをみながら奥に行くと、小さな入口があり、その奥に美しい庭園が広がっています。池泉回遊式見観賞式庭園の『香藕園(こうぐうえん)』は吉野にある『竹林院』、大和郡山にある『慈光院』とともに大和三名園と賞される庭園で、その起源は鎌倉時代で、桃山時代に完成し、江戸初期に大名で茶人の片桐石州により改修されたといいます。低い土塀に囲まれ、心字池を中心に植え込みや石が置かれ、草木が四季折々に美しい景観を見せる中、借景となっている東塔が心字池に影を落としています。

  當麻寺中之坊6  當麻寺中之坊8
    睡蓮が咲く心字池                    借景となる三重塔

 情緒ある杮葺きの書院の前に立ち眺める庭園は静寂に包まれ、池の睡蓮の葉の中に浮かぶ花の白さが夏の風情を見せています。書院の一角には片桐石州が設計したといわれる茶室『丸窓席』が設けられていて、この席で多くの客人たちが美しい庭園を愛でながらお茶を楽しんでいる光景が・・・またもうひとつの趣きある茶室『知足庵』では客人と主人が相対しながら心の内を語り合ったのでは・・・などと想像をめぐらしてしまいました。

   當麻寺中之坊7     
     書院

  當麻寺中之坊9  當麻寺中之坊10
    茶室「丸窓席」                     茶室「知足庵」

 苔生した土塀、足元に揺れる草花、青葉の中にそびえる三重塔・・・庭園に心を癒やされながら進むと中将姫の仏の姿を描き出す写仏道場となっている客殿あり、天井はさまざまな画家から奉納された名画で飾られています。そして、霊宝館では中之坊が有するさまざまな寺宝を展示されていて、その歴史の深さと重みに圧倒されます。

 『ボタンの寺』で名高い當麻寺、いずれの塔頭にも『ボタン園』があり境内を彩りますが、今は紫陽花など夏の花に境内に彩られています。

  當麻寺中之坊11  中之坊10

 また、中之坊と参道を挟んだ向かい側には山野草や茶花が数多く植えれれている塔頭 宗胤院(そうにん) があります。木々に包まれた境内でひっそりと咲く可憐な花に癒やされ、心が温かくなってきます。

  當麻寺中之坊13  當麻寺中之坊14
    宗胤院                         


當麻寺 ~ 天平の古搭がそびえる中将姫ゆかりの寺 ~

 奈良県葛城市と大阪府南河内郡太子町にまたがる二上山、その麓に伽藍を広げる 當麻寺 は『中将姫』が蓮糸で織り上げた『當麻曼荼羅』の伝説で知られ、真言宗と浄土宗が並立する古刹。寺伝によれば、用明天皇の皇子で聖徳太子の異母弟・麻呂子親王が、河内国に建立した万法蔵院禅林寺を麻呂子親王の孫である當麻国見が天武10年(681)に役行者開創のこの地に移したと伝えられています。その後、一帯を支配していた當麻氏がその氏寺として造寺に力を注ぎ、白鳳から天平時代にかけて金堂、講堂などの伽藍を完成したとみられています。當麻寺の本尊は、この寺で出家した中将姫が織り上げた『當麻曼荼羅』で、阿弥陀如来、観音菩薩、勢至菩薩を中心に極楽浄土の世界が描かれています。藤原鎌足の曾孫・藤原豊成の娘とされる中将姫は継母の虐待を受けていましたが、あるとき、継母からの斬殺の命を受けた松井嘉藤太に山奥に連れ込まれます。そして、白羽の刀を首にあてがわれたときに三卷の経を読むことを請い、一巻目に亡き母の菩提を弔い、二巻目に父の安穏を祈り、三巻目に継母の無事息災を念じたことに感銘を受けた嘉藤太夫婦に庇護されて暮らし、やがて父と対面した中将姫は、仏に身を奉げることの許しを請い、當麻寺に入ったといいます。そしてあるとき、「蓮の茎を集めよ」とのお告げを受け、蓮の茎が集まると尼僧が現われ蓮の茎から糸を抜いて束にし、井戸に漬け引き上げると糸は五色にそまっていて、今度は織姫が現われ機を織り始めたので姫も手伝い織り上げると、そこには曼荼羅が描かれていて、再び現れた尼僧に、「これがそなたが見たいと願っていた浄土の姿」と教えられ、姫はあまりの尊さに世を去った人々の菩提を弔うことに専念したといいます。そして春の大祭である『練供養会式』は、観世菩薩、姿勢菩薩ら二十五菩薩が現世に里帰りした中将姫を迎える儀式で、1000年以上の歴史があるといいます。

 二上山を背に伽藍を広げる當麻寺、土産物店や飲食店が並ぶ参道を進んで行くと石段の上に仁王門がそびえています。

  当麻寺  當麻寺2
    二上山                           仁王門

 當麻寺が賑わうのは牡丹の咲くころといわれているように人気の少ない境内、日本最古といわれる梵鐘の脇を通り進むと金堂と講堂が向かい合って建ち、その先に本堂(曼荼羅堂)が建っています。

  當麻寺3  當麻寺4
                                   日本最古とされる梵鐘

  當麻寺5  當麻寺6
    金堂                            講堂

  當麻寺7  當麻寺12
    本堂(曼荼羅堂)                    日本最古の石燈籠

 国宝の本堂には転写されて受け継がれてきたという當麻曼荼羅が厨子の中に安置されています。目にする曼荼羅は絢爛豪華な極楽浄土が描かれていて、仏像とは異なる尊さに圧倒され、浄土の世界に引き込まれていくような気がしてきます。

 そして、曼荼羅堂が本堂となる以前は當麻寺の根本のお堂であったという金堂には、白鳳期の作といわれる国宝の本尊・弥勒菩薩像と本尊を守護する四天王像が安置され、講堂には丈六の阿弥陀如来像が祀られているほか、さまざまな寺宝が置かれています。それらの寺宝は、飛鳥と難波をつなぐ日本で最初の官道『竹内街道』が通り、遣隋使、遣唐使、渡来人たちによって運ばれた中国や東南アジアの香りが残されていて、古の時代を彷彿させてくれます。

 また、當麻寺で忘れてならないのが二基の三重塔。創建当初の姿で東西両搭がそろって残っている唯一の寺として知られています。西塔は現在改修中でその姿は覆いの中に包まれていますが、東塔の相輪の九輪と水煙が木立の中に浮かぶ風景は美しく、今も当初の伽藍配置で残されている二基の搭は當麻寺のランドマークになっています。

  當麻寺9  當麻寺11
    東塔                            西塔(現在は改修中)

 そして境内には中将姫の銅像や中将姫が五色の糸を繰ったという糸繰堂、大師堂などの建物や塔頭寺院が並んでいます。

  當麻寺8  當麻寺13
    糸繰堂                          大師堂

 中将姫が織り上げた當麻曼荼羅を本尊とする當麻寺、機会があれば境内に架けられた来迎橋の上を菩薩が練り歩く『練供養会式』に訪れて、中将姫を偲びたいと願いながら伽藍を守る塔頭に足を向けました。

 
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